大東亜共栄軒について
「ダイトウアキョウエイケン」と聞いて、居心地の悪い、そして政治的ニュアンスを感じる人は多いでしょう。それは「大東亜共栄圏」というスローガンの下、大日本帝国がアジアの諸国を侵略していった過去があるからではないでしょうか?
一方最近では、東アジアの諸国は文化的には華流・韓流ドラマ、ジャパニメやJ-POP、人的には10年前はまだ珍しかったアジア人労働者の増加、またアジ
アの国々への日本人旅行者の増加、そして飛躍的に発展するアジア諸国の経済によって、今まで以上にお互いのつきあいが多くなり、お互いを必要とし、理解し
合わなければならなくなりました。
実際、私も2000年に初めて北京でパフォーマンスをした後、年に3〜4回はアジアでパフォーマンスを行うようになり、そこで多くのアーティストと出会いました。今回招聘した5人のアーティストはそういう人たちです。
パフォーマンスアートは1970年代前半から活発化した美術表現です。それまで、絵描きや彫刻家が「ハプニング」「イベント」と言ってやっていた表現が自覚的に行われるようになったとき「パフォーマンスアート」と言うようになりました。
そしてこの表現方法は1990年代アジア地域で独特な発展を遂げたように思います。
それは美学的な表現の枠を超え、社会、政治と相渉り、個人的な表現はもとより、コミュニティに根ざした表現を模索していったからです。
そのため美術の1ジャンルという隘路に迷い込むことなく、おおらかで、楽しく、しかも現代の生活に批評的でもある表現となってきました。
それは、民俗芸能(芸人)、政治的デモンストレーション、コミュニティの祝祭をも含んで止揚するような表現になっているともいえます。
もちろん、パフォーマンスアートにはいろいろな形態があり、今言ったことは「独特な発展」ではあります。また、アジアにはいろいろなパフォーマンスアーティストがいることはもちろんです。
しかし、今回招聘したアーティストは私見では、その「独特な発展」を担ってきました。
現在アジアの国々ではいろいろな問題が起こっており、それはマスメディアの報道やインターネットの情報、旅行などではとらえきれない多様性と深さを有しています(日本も同様です)。
その状況にコミットし、積極的に活動する彼らが一堂に会し、お互いを披瀝することは、日本の観衆にとってスリリングな機会となるでしょう。
もとの意味でいえば「共栄」というのは違いのある者が、その違いを理解し合いながら、相補い、お互いに栄えていくということだと思います。ですから「圏Sphere」の一字を「軒Restaurant」に変えて、そこに集まった東アジアの人間(日本人もです)が、パフォーマンスを見て、語り合う「東アジアの楽しいレストラン」を作ろうと思った次第です。
付け加えれば「小東亜共栄軒」というネーミングこそが(「小日本主義」参照)ふさわしかったのかもしれませんが、インパクトを考えて「大東亜共栄軒」と名付けました。
2006年4月28日 out-lounge 東京
イトー・ターリ (日本))
三木 aka 陳式森 (サン・ムーまたはチェン・シーセン/香港)
"三峡ダムに沈んだ奉節の街"
2006年4月29日 out-lounge (旧天皇誕生日)
王楚禹 (ワン・チューユ/中国)
"長崎、南京、広島"
中島美美 + RINZO(田中洋平) (日本)
"借景"
Mongkol Plienbangchang (モンコー/タイ)
"衝突する地平線"
2006年4月30日 out-lounge
Mideo M. Cruz (ミデオ/フィリピン)
"偽改革運動シリーズ"
竹田賢一 + 荒井真一 (日本))
"Tourist #8 International"
Arahmaiani (アラフマヤーニ/インドネシア)
"言葉を割る"
2006年5月4日 富山市民プラザ (1919年5月4日中国で大規模な抗日運動、「五四運動」起こる)
三木 aka 陳式森 (サンムーまたはチェンシーセン/香港)
"三峡ダムに沈んだ奉節の街"
Arahmaiani (アラフマヤーニ/+インドネシア) + 荒井フデ子 (日本)
"言葉を割る"
Mongkol Plienbangchang (モンコー/タイ)
"衝突する地平線"
王楚禹 (ワンチューユ/中国)
Mideo M. Cruz (ミデオ/フィリピン)
"偽改革運動シリーズ"
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(from Feb. 12 2006)