大東亜共栄軒 1
Great east asia co-prosperity Restaurant 1

2006年4月29日(土曜日)
out-lounge 大塚・東京

Mongkol Plienbangchang (モンコル・タイ)



モンコルはタイのバンコクで精力的に活動するアーティストです。1995年以降兄のパイサンらと「U-Kabat ウカバット(タイ語で隕石)」グループでも活躍。「ウカバット」は2002年光州ビエンナーレに招待されました。ウカバットのコレクティブパフォーマンスは明確な政治・社会批評精神を持ち、しかも演劇的にはならないめずらしい形態です(演劇的なセクションはあるものの、3つから4つの一見関係のなさそうなアクションが同時多発的に行われる。しかし、それらは十分な討議を経た後の、即興であるようです)。

たとえば、バンコク市政府は一時中心地にコンテンポラリーなアートセンター建設を計画し、地元アーティストたちも協力していたが、2002年市長が交代するや新市長は計画を撤回、大型ショッピングモールの建設に変更した(テナントは日本や海外のブランドショップなどであろう)。これに対してアーティスト、市民は猛烈な政治ラリーで応酬したが、彼らはこの流れの中で、市民(子供)参加のイベントを企画したり、特異なコレクティブパフォーマンスで多くの市民をひきつけた。
参加しているそれぞれのアーティストの社会への関心、コミュニティへの貢献の意識はとても強い。メンバーのワサンは社会運動、市民の手による文化イベントのために、数々のデザインのTシャツを作ってきた。最近、それらを集めた展覧会と、カタログが制作された。
地方(たとえば津波被災地域)でのワークショップも積極的に行っている。

写真は2005年5月中国・北京での「第3回Dadaoライブアートフェスティバル」での「苦悩のお茶」という作品。
おもちゃのマシンガン、泣きじゃくる子供のポートレート、無愛想に手を振りつづける金の招き猫。そしてイラクのゲリラのような装束。その中でモンコルはとても優雅な身のこなしで行為を続ける。
2001年ごろ、初めて会ったときはアグレッシブな立ち居振る舞いが、見る者をひきつけていたが、今はどうしたことだろう?

やかんにセットしたお茶は突然サイレンのようにわななき出す。
彼は、観客にお茶を振る舞う。

そして子供に火を見せ、熱いお茶を注ぎかける。

最後におもちゃのマシンガンで観客を威嚇し回り、最後にそれを地面にたたきつけ、小便をかける。
(荒井真一)









「苦悩のお茶」

Mongkol Plienbangchang(モンコル・タイ)

1965年

バンコクに生まれる。
詩人であり、画家。
1985年
パフォーマンスを始める。
1990年
SUANDUSIT教育大学美術科卒業
1995年
U-Kabatグループの一員として芸術活動、社会運動にかかわる。

モンコルの作品はつねに高い強度を持ち、資本主義と土着文化にたいして批評的な考察をもって、タイの政治的状況を喝破する。
モンコルは50以上の作品をタイやアジアのフェスティバルで発表。
タイの国際パフォーマンスアートフェスティバル「アジアトピア」の実行委員も努める。
つねに、いろいろなアートグループ、社会運動との連携を図っている。


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