大東亜共栄軒 2
Great east asia co-prosperity Restaurant 2

2006年5月4日
富山市民プラザ マルチスタジオ
Arahmaiani (アラフマヤーニ・インドネシア)



写真は2003年北京「第2回Dadaoライブアートフェスティバル」でのアラフマヤーニ(以下ヤーニ)の「SOHOベイビー」

北京の中心地の東はずれ、国際貿易センターには2000年頃から「スターバックス」や「ルイヴィトン」が入っていた。そのころ両替の銀行に行って、ほかでは目にしなかった日本でも銀座にあるような店を目の当たりにしてビビったものだ。しかし、今はもう驚かない、北京には何だってある。会場の「北京SOHO」はその貿易センターの向いがわの空き地に忽然と現れた感があった。今でも周辺の空き地は汚く、廃材置き場然としているし、物売りや、盲目の胡弓弾きがいたりする。しかし、その敷地に入るや、30階建てクラスのビルが6棟ぐらい立ち並び、新宿副都心に来た感じがする(掃除のお姉さん方が始終掃除しているので、もっとぴかぴかだ)。

さて、2000年には北京郊外で警察に中止されたフェスティバルをこのような都心でやることになるとは思ってもみなかった(主催者たちもそう言っていた)。ヤーニもそう感じ、中国でも海外でもスキャンダラスな話題をさらった小説「上海ベイビー」からこのタイトル付けた。

初めてヤーニの作品をNIPAFで見たとき(1998年)もこの作品であった。要は観客に自分の体に観客の好きな言葉や文章を書かせる作品だ。そのときはヤーニが舞台で椅子に座り、観客は一人一人舞台に上るというものであった。最初は遠慮していた観客も最後にはわれもわれもと次々に舞台に上がったが、私は娼婦に会いにいくような気がして、そして彼女から試されているような気がして、舞台には上れなかった。
その後彼女の「His-story」という作品やほかの作品を見るにつけ、彼女のユーモラスのようでいて、飲み込んだとき、棘がひっかるような作品にひかれていった("インドネシア政治/男性"の内戦のような歴史も見えてきた)。

観客は女性もいれば男性もいる、公衆の前で女性の肌に触るということに躊躇を覚える男性もいるだろう。そう考えたとき、このパフォーマンスはスキャンダラスでもあり、人間的でもあるだろう。なぜなら、ここは劇場ではなく、開かれた空間で誰が通ってもおかしくないのだから。

実はこのパフォーマンスが行われる2日前 リューシャンジェというアーティストが表から盲目の胡弓弾きを雇って、彼の作品で演奏してもらったのだが、そのことでガードマンともめ(警備会社はセキュリティ上そういう人種を、このエリアに入れないことにしていた)、フェスティバルは中止になりかけたのだった。ヤーニほか、サイトスペシフィックな作品を考えていたアーティストたちは大変動揺した。しかし、主催者たちの警備会社およびオーナー会社との粘り強い交渉で、再開されたのであった。(荒井真一)




「SOHOベイビー」

ARAHMAIANI(アラフマヤーニ)
1961年
バンドン(インドネシア)生まれ
1979年
バンドン・テクノロジー・インスティテュート・ファインアート学科(インドネシア)
1984年
パディントン・アート・スクール(シドニー・オーストラリア):
1991年
Beeldende芸術アカデミー(オランダ)

主なパフォーマンス
1995年
“ It’s A Late Night ? Tomorrow The Sun Will Shine” 先住民アポリジニ、フィリピンアーティストとのコラボレーション作品
“Friday Sermon”クレアモント・アート・スクール (オーストラリア),
1996年
“Offerings From A to Z”(チェンマイ・タイ)
“Handle Without Care”(ブリズベン・オーストラリア)
“Handle Without Care I” Z ギャラリー(ソーホー・ニューヨーク)
“Handle Without Care II”(バンコク・タイ)
1997年
Do Not Prevent The Fertility Of The Mind”コンクリートハウス(バンコク・タイ)
“Handle Without Care III” (ハバナ・キューバ)
“Handle Without Care - Who Cares?” 東京都現代美術館
“Point Zero - My Mind Gets Stuck” Marsyギャラリー(バンコク)
1998年
“Point Zero ? My Mind Gets Stuck” NIPAF98 (東京、名古屋、広島)
“Show Me Your Heart” Winternachten,フェステバル(ハーグ・オランダ)
“Show Me Your Heart” NIPAFアジアシリーズ(長野、名古屋、東京)
“You Died, Marx” Musee De Castieva, Almaty, カザフスタン
“Show Me Your Heart” JAXPA 98(バンコク)
1999年
“Burning Bodies, Burning Countries I” CCP (マニラ・フィリピン)
“Show Me Your Heart” Und Ab Die Post, Posfuhramt,(ベルリン)
“Newspaper Man” Kampung Tenda Semanggi(ジャカルタ)
“Dayang Sumbi Refuses Status Quo” フランス文化センター(バンコク)
“Hell Comes To Paradise” Vredeburg Fort(ジョグジャカルタ)
2000年
“His-story I” ジャカルタ・インターナショナル・パフォーマンスアート・フェステバル2000
“His-story I” ニパフ2000 (タイペイ、長野、名古屋、東京)
“Corporeal Apology” リヨンビエンナーレ
“His-story II” Werklietz ビエンナーレ
“His-story II”(ホンコン、マカオ)
2001年
“His-story II”第1回ウーマン・パフォーマンス・アート・フェステバル(大阪、東京)
2002年
“Money ? World ?” Pruess & Ochs ギャラリー(ベルリン)
“Violence No More” ルートビッヒフォーラム(アーヘン・ドイツ)
2003年
“Human” Langgeng Gallery(マグラン・インドネシア)
“Fusion-Strength” ベンダ・アート・スペース(ジョグジャカルタ)
“Violence No More” MIP(ブラジル)
2004年
“Lapen Wedding” Kedai Kebun (ジョグジャカルタ)
“Breaking Words”長野Expo(日本)
“Breaking Words”FIX04 (ベルファスト)
2005年
INTONNE Festival(オーストリア)
“Learning To Swing” Valentine Willy Gallery(クアルンプール)
“We Are Not Hungry” Ambulanceインターナショナル・パフォーマンスアート・フェステバル(ジャカルタ)


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