小東亜共栄軒08
2008年4月28日
東京


李文(リー・ウェン/シンガポール)
"あなたより、もっと中国"














リー・ウェンはシンガポール生まれで、現在はシンガポールと日本を行き来しつつ、タイ、イギリス、インド、ポーランド、パキスタン、ドイツ、カナダ、メキシコなど世界各地でパフォーマンス、インスタレーションを展開させている。1999年以降はブラックマーケット(ドイツを中心とするパフォーマンス集団)のアジア人では唯一のメンバーとしても活動している。リー・ウェンのパフォーマンスおよびインスタレーションは、しばしば個人や社会システムにおけるイデオロギーや価値体系を暴き出し、疑問を投げかけるというものである。彼は80年代後半、サラリーマン生活を経て比較的遅いデビューをしたが、またたくまに注目を集めた。初期にはシンガポールのアーティストヴィレッジ*1の仲間たちとの活動が多かったのだが、次第に頭角を現しキャリアを重ねた。今までに第3回アジアパシフィックトリエンナーレ(1999)、第6回ハバナトリエンナーレ(1997)、クアンジュービエンナーレ(1995)、第4回福岡アジア展(1995)などのシンガポール代表を務めた。リー・ウェンといえば、イエローマンで知られているが、「イエローマンの旅」シリーズでは、イエローマンが世界各地に現れ、多様に変化する現代の状況を吟味するというものである。彼はいくつかのパフォーマンスをシリーズにしている。例えば「ゴーストストーリーズ」や「ネオババ」などのシリーズである。それらの作品で、アートに対する比較的保守的な考えに疑問を投げかけ、東南アジアのコンテキストを国際的な現代美術の流れに調和させようとしている。05年にはシンガポールの文化勲章を受章した。

*1アーティスト・ビレッジは、シンガポールにおいて1986年にできた非公式なグループである。タング・ダ・ウーをはじめとする主要なメンバーたちは、鶏小屋や農家を改良したアトリエで、いままでの慣習にとらわれない新しい方法で実験的な作品をつくりだした。グループによる活動は、実験や交流の場となった。リー・ウェンは、1989年からグループに加わつた。彼にとって、その影響は非常に重要な要因である。アーティスト・ビレッジは1990年にアトリエを失ったが、さまざまなかたちでその活動をつづけている。


-->小東亜共栄軒08
-->ARAIart.jp


©ARAIart.jp